【ハンダ付けのススメ】アーケード基板のハーネス、自作してみませんか?

どうもお世話になっております。BEEP秋葉原店の基板担当でございます。

本日はアーケード基板用のハーネスについてのお話しです。
アーケード基板を自宅でプレイしている方でしたら基板用に各種変換ハーネスは多くの方が使用されているかと思います。
独自規格の配線の基板を遊ぶために接続する筐体やコントロールBOXに合わせて作製するハーネスは、基本的に基板屋でいつでも購入することが出来ます。断線の心配もなくコンパクトなコネクタ一体型の物も多く出回るようになりましたのでそういったアイテムを購入するのも良いと思います。

ですが、簡単なものでも良いのであえてハーネスを自作するのもアーケード基板を知るための第一歩にちょうどいい作業ですのでオススメです。

私はアーケード基板担当なのに実はそれほど電子工作や電子機器についての知識があるわけでは無く基本的な扱いしか知らない人なんですが、ゲーセン店員時代から簡単なハーネスなら作って動作確認したり、お客様に販売することもやっておりました。基本を押さえればそれほど難しい作業ではないのでぜひ挑戦してみて頂きたい、という事で今回は私がハーネスを作る際の工程と押さえておくと役に立つかもしれない(?)ポイントをご紹介いたします。

今回作例としてハーネスを作製したゲーム基板はタイトーの「チャイニーズヒーロー」です。
カルチャーブレーンの前身となる日本ゲームが開発したタイトルで、後に「スーパーチャイニーズ」としてシリーズ化される人気タイトルです。

基板はコチラ。

チャイニーズヒーロー基板画像

1984年発売のゲームでコネクターは44ピンの独自規格です。これをJAMMA規格に変換するハーネスを作っていきます。
なぜJAMMAハーネスなのかといいますと、幅広い機材に接続出来る汎用性の高い規格だからです。

そもそもJAMMA規格とは1986年頃に誕生したアミューズメント機器の業界統一規格で、それまでメーカーや年代、基板の仕様などによってアーケード基板とゲーム筐体との接続がそれぞれ独自の規格だったものを同じ仕様にして安全かつ便利に運用しよう、という趣旨から生まれた規格です。これによって汎用筐体の基板入れ替えやメンテナンスが容易になり、扱いも楽になりました。

個人で楽しむためのコントロールBOXでもJAMMA規格が採用されていて、標準で付属するハーネスとして使われています。というわけで現在でもJAMMA誕生以前の基板をJAMMA規格に変換するハーネスがスタンダードになっているわけですね。

それでは作製していきましょう。まずは必要な物を用意します。

【用意するもの】

・44ピンエッジコネクタ
今回スタンダードなヒロセのCR7E-44DA-3.96Eをチョイス。
信頼性も使いやすさも抜群。どなたにもオススメです。
https://www.beep-shop.com/ec/products/detail/5993

エッジコネクタ44ピン

・JAMMA仕様の板コネクタ
普段は鉄板の三和電子CB-56Bを使っています。使いやすくて信頼性抜群でオススメですが、最近は各社から色々と便利な機能を入れた物も出ています。今回は手前味噌ですがBEEPオリジナルの56ピンカードコネクタを使ってみました。筐体への接続でありがちなGND配線の取り回し対策を施したGND強化型です。基本的にどれを使ってもOKですが、JAMMA仕様の7番ピン切り欠きのあるタイプがわかりやすくて安全なのでオススメです。
https://www.beep-shop.com/ec/products/detail/20398

板コネクタ

・電線
電線は今回電源とGND用に1.25SQ(AWG16)の物(画面右上4本)を、それ以外の線を0.3SQ(AWG22)の物を使っています。
ホームセンターや電器店で売っている物を購入して下さい。コストはかかりますがなるべく多くの色を使って色分けで識別出来るように作るのがオススメです。短めの線を多色セットで販売している物がありますのでそちらがオススメです。今回は赤の線の在庫が切れていて、それに合わせて全体が16cmとやや短くなっています。

電線事前カット

・ワイヤーストリッパー
電線の被覆を剥く工具です。ニッパーでも代用できますが専用品があると失敗が減らせます。あとなんかカッコいいので持っていても良いのでは。
私はHOZANのP-960を使っています。電線カットも出来るし長年使ってますが被覆剥きも切れ味抜群。コンパクトで収納に困らないのが良いですね。
https://www.hozan.co.jp/corp/g/g6960/

ワイヤーストリッパー
・ハンダごて
国内有名メーカーの物がオススメ。安いもので構いません。コテ先は何でも良いので作業し易いサイズをお好みで選んで下さい。私は仕事でもプライベート(ラジコン用)でもHAKKOのFX-600を使っています。ちょっとだけ高くなりますがある程度温度調整が出来てすぐに温まって使えるので大変便利です。ハーネス作製の場合は370度かちょっと高めの420度で作業しています。
https://www.hakko.com/japan/products/hakko_fx600.html

はんだごて画像

・糸ハンダ
国内メーカーの精密基板用の物でしたら何でも良いと思います。使いやすいヤニ入りがオススメ(換気はちゃんとしましょう)。太さは0.6mmから1mm位がオススメです。
間違えてしまった時のためにハンダの吸い取り線や吸い取り器もあると便利です。

リール糸ハンダ画像

・作業用の板と重り
ハンダ付けの際には作業用に木板やハンダ作業用のシリコンマット等を敷くと汚れやゴミの処理も簡単で便利です。また私はコネクタに重りを乗せて動かないようにして作業しています。
今回は当店で販売中のサークルGUILTY HEART様の『アーケード基板ハーネスはんだ付け支援治具』も使っています。ハーネス作製でよく使うピン数のエッジコネクタと板コネクタを固定してはんだ付けをアシストしてくれる便利アイテムです。固定用の足を木板に木ネジで固定して使うのがオススメですね。

はんだ付け支援治具画像

ちなみに私は普段はハンダのリール台を重しにして固定しています。
慣れるとこれはこれで便利です。

コネクタ重りで固定する画像

準備が出来たら作業開始!
何もない場合はちょっと初期費用が必要になりますが、ハーネスの材料自体はおおむね2,000円以下で揃いますので、長い目で見ればお得になるかと思います。

ちなみに今回ご紹介しているのはハンダ作業や工程、機器の取り扱い等で正しい方法とは色々違っている箇所があるかと思います。あくまで私の普段の作業の紹介ですのでハンダ付けのやり方については私よりも正しくて詳しい方の解説が沢山ありますのでそちらを参照して下さいね。安全に配慮してやりやすい方法で作業して頂ければ良いかと思います。

工程①

電線事前カット
まずは電線をあらかじめ使う長さにまとめてカットしておきます。電線は基本太くて短い方が電気的にはベストなんですが、あまり太い線ばかり使うと取り回しが悪かったりしますので、基板用ならそれほど気にせず長さはお好みで調節して下さい。(あまりにも長いのはNG)
今回電源とGNDの配線は4箇所まとめて太い線でハンダ付けしていますが、本来は全てのピンに1本ずつ配線した方が難易度も低くより正しい方法なので良いと思います。(要するに無理のない範囲で端折ってるわけです。)
電線は被覆の色によって使う信号や用途を決めてメモなどに予め記載しておくととても便利です。私も例えば+5Vは赤、GNDは黒、+12Vはオレンジ等色分けして使っています。
画像左側の2個の丸まった状態の物は操作系等の信号線です。1Pと2Pに分けてまとめてあります。

工程②
電線をストリッパーで剥き、ねじってから予備ハンダを行います。

電線前処理画像電線予備ハンダ例2

電線予備ハンダ例
線をよじる事で曲げに強くなって断線しにくくなり、よじった線に予めハンダ付けしておく事で強く融着するのでハンダ不良が防げます。ここは重要な工程なので両端ともしっかりとやります。

工程③
基板の配線図を参照しながらエッジコネクタにハンダ付けします。
ハーネス作製プロの方は配線も頭に入ってるんですが、私は未熟者ですので必ず配線図を見ながらやります。また、可能な限り実基板も事前に良く見て確認します。(たまに説明書が間違っている場合がありますので…)

ハーネス配線事前確認

初めての基板の場合は特に注意が必要です。あらかじめコネクタと配線図を比較して表裏や向きの確認、違和感がないかなどチェックします。

工程④
コネクタの確認が出来たらまず電源系の+5V、+12V(あれば-5Vも)、GND(グランド)とRGBの映像信号、及びスピーカーへの音声信号の線を付けていきます。

はんだ付け支援治具画像エッジコネクタ取り付け

スムーズにハンダ付けするため、コネクタにもあらかじめ予備ハンダをしておきます。はんだするコネクタは動くと作業しにくいので固定して行うと良いでしょう。

エッジコネクタ予備ハンダ 板コネクタ予備ハンダ

工程⑤
上記の線をエッジコネクタに付けたら、電線の反対側をJAMMAの板コネクタにハンダ付けします。

ハーネス一部完成

全部完成してから配線が間違っていたり、そもそも基板が故障してたりすると作業が無駄になるので、操作系の配線は後回しにして、ひとまずこの時点で電源を入れて映像と音声が正常に出ているかを確認します。電源投入前に配線の間違いがないか、ハンダが隣のピンに接触していないか等を再度確認してから電源を投入します。(電源の+5V、+12V、-5Vの線がショートしていないかテスターを使って確認すると更に安全です。)

電源投入前の確認

この時画面表示がすぐに出ない時は配線が間違っているかもしれませんので、一旦電源を切って配線を確認してみましょう。間違うと即故障する可能性がありますが、短時間なら助かる場合もありますので画面に集中していつでも電源を切れるようにしておくと万一の場合も被害を少なく出来ると思います。(画面出るのに時間がかかる基板もあります。)

また、板コネクタ側にハンダ付けする前にショートすると危険な電源の配線に熱収縮チューブを取り付けておけばハンダブリッジやちょっとした事故を減らせますのでオススメです。

収縮チューブ収縮チューブ取り付け例

全ての配線に収縮チューブを取り付ければ更に安心感が増しますので余裕があれば行って下さい。

工程⑥
無事に起動が確認できたら一安心!残りの操作系の配線を同じようにハンダ付けします。
1P側と2P側を間違えやすいので最初に1Pだけ配線して、終わってから2P側を配線すると良いと思います。

ハーネス作製完了

工程⑦
全ての配線がハンダ付け出来たら再度基板と機器を接続して動作確認します。

ハーネス接続確認画像チャイニーズヒーロー画面
異常がなければOKです!接続時にコネクタの逆差しをしないようにテプラ等で基板の名称と部品面、ハンダ面がわかるようにしておきます。さらにハーネスの線がバラけないように結束バンド等でまとめておけば断線も防げて格好もつきますのでオススメです。フラックスリムーバーや無ければ無水エタノールと綿棒等を使ってはんだ付けした後のヤニを落とすと更にキレイな仕上がりになりますよ。(画像ではヤニを落としてません…)

完成品ハーネス画像 ハンダ付け拡大画像2 ハンダ付け拡大画像
さて、かなりザックリとしたご紹介でしたが、いかがでしょうか?
最初は上手くいかないかも知れませんが、数を何本か作ればすぐに上達するかと思います。機会があれば是非ハーネス自作にも挑戦してアーケード基板ライフを充実させてみて下さいませ。

もちろん基板専門店でしたらハーネス作製も問題なくやってもらえますので不安な場合は無理せず購入店に相談して下さい。BEEPでももちろんハーネス作製を承っておりますのでお気軽にお申し付け下さい。基板の購入とセットの注文がオススメです。

ここからお決まりの宣伝となりますが、BEEPではアーケード基板の買い取りも常時行っております!コレクションの整理をお考えの場合は是非ご相談下さいませ。

今売ったらどのくらいになるのか、お見積りも無料で行っております。量が多い場合は出張でお伺いする事も出来ます!またBEEPなら通常のゲームショップではあまり取り扱いしていないアーケード基板やレトロPCの本体、ハード、雑誌やチラシ、ポスター、グッズ等何でもまとめて受け付けております。ぜひお気軽にご相談下さいませ。

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※文中の記載は基本的に基板担当のインターネット調べによるものです。
実際の情報とは異なる場合がございますので参考程度にお読み下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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